コロナになった…その3「出発〜手続き」

カタヨリ

とうとう始めるホテル療養!

4日目

出発

朝目を覚ますと熱もなく、喉の痛みも大分マシになっていた。

家を出るまでに、子供達が何度も覗きにきてくれたこの部屋を

綺麗にしておかないと。

そう思えるほどに回復していた。

少しの間帰れない我が家での最後の朝食を食べる。

鼻詰まり?

なんとなく、味覚が鈍っているような感覚を覚えた。

かの有名な味覚障害かとも思ったけど、全く感じない

わけじゃない。実際、鼻詰まりもあった。

あまり気にも留めず朝食を終えた。

 

出発までの残された時間、パートナーや子供達にあれやこれやと

自宅待機中の生活について話をしておいた。

私が家を出て14日間の自宅待機だ。

感染していないことを願うばかりだけど、もし感染して

いないのなら、そう短くもない時間を家で過ごすことになる。

子供達にとっては尚更。

でもまずは感染してませんように。

それ以上を望むのは贅沢に思えた。

 

タクシー到着の電話が鳴る。

そそくさと準備をして玄関に。

パートナーが「ドナドナドーナードーナー」

なんて口ずさむから吹き出してしまった。

「そこ行く?」

玄関を開け振り返ると、見送りにきてくれた子供が目に涙を溜めていた。

私が家を出る時に泣かれるなんて何年ぶりだろう。

大きくなったなあ。

どうか、感染してないで。

タクシー

マンションを出ると担当タクシー会社のロゴが入った大型ワゴンが停車していた。

運転席で待機している担当者に会釈して車に乗り込む。

車内は運転席と後部座席の間に間仕切りがしてあり、シートには全て

ビニールがかけられていた。

どこかにスピーカーが設置されているらしく、

乗り込むとすぐに運転手から出発がアナウンスされた。

コロナに感染していることがなんとなく後ろめたい私には、

この車のスモークガラスが少し有り難かった。

換気の為、隙間程度に開いた窓から外を見てると

まさに気分は子牛だった。

 

車が停まり2人目が乗り込んできた。

会釈くらいは、と思ったが目も合わなかった。

まぁ、そんなもんか。

しばらくぼんやりしていると街中に近づいてきた。

また車が停まり3人目が乗り込む。

今度は窓の外を見てるようにした。

すぐに最初のホテルに到着。

どうやら全員同じホテルではないようで、ひとりだけ降りていった。

私達を乗せた車はすぐ2軒目のホテルへ。

ものの2、3分で到着した。

説明、手続き

タクシーを降りてホテルの裏玄関に到着する。

インターホンを押してスタッフに名前を告げると自動ドアが開いた。

中に入ると、長テーブルに置かれた受話器を持って話ている宿泊者、

ガラス窓越しに受話器を持って何かを説明しているスタッフがいた。

壁際にはパイプ椅子が並んでいて、数人がその順番を待っていた。

「次の方どうぞー。」

見様見真似で受話器をとる。

目の前にあるホテル療養のしおりを手に取るよう指示され、順に説明をうける。

ここにいる間は、ホテルスタッフや担当看護師とはLINEか内線のみでやりとりを行うらしい。

諸々の説明を受け、最後に血中濃度飽和度を測定、報告し部屋のカードキーを受け取る。

その後、断続的に入ってくる新規宿泊者を横目にエレベーターに乗り込む。

エレベーターを降りると落ち着いた雰囲気のフロアだった。

誰ともすれ違わないフロアを進み、割り当てられた部屋に入った。

オリエンテーション

「狭っ…。」

部屋に入った瞬間、つい口から出た。
普段、家族旅行以外での外泊機会がほとんどない私はそう感じたが
、出張等で使う一般的なビジネスホテルくらいだろうと想像する。
寝るためだけの部屋、まさにそういった部屋。
とは言え、大きめの化粧台に椅子まで設置されている。
部屋をウロウロするには少し邪魔だけど、何かしら作業をするには
きっと助かる。
机の上には体温計、パルスオキシメーターが置いてあった。
風呂場は3点ユニットバス。
若い頃の一人暮らし以来だけど、全てが簡潔に済むという点で
嫌いじゃない。こういう状況の今なら尚更。
荷物を下ろし、ホテル療養者の案内に目を通す。
・担当看護師へLINEで1日2回の健康観察報告
・滞在期間中の飲酒・喫煙の禁止
・食事の提供時間やその方法
・移動制限や消灯時間
・各自で部屋を清掃することのお願い
・その他注意事項
等が書かれていた。
そうこうしてると内線が鳴った。
担当看護師からの連絡で、改めてホテル療養についてのオリエンテーション
が行われた。案内に沿って説明を受け、退所までやり取りする看護師用端末と
LINEの友達登録をしてオリエンテーション終了。
現在の体調や持ち込みの薬などを伝え内線を切った。
カタヨリ

次回はホテル療養について!

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