オーストリアの心理学者「ヴィクトール・E・フランクル」が、第2次世界大戦時の強制収容所で実体験が元になっている著書ね。「言語を絶する感動」とか、1991年アメリカ議会図書館の調査で「私の人生に最も影響を与えた本」の9位になったようね。
話には、戦争中の悲惨さや理不尽な出来事がいくつも出てくるんだけど、多くの戦争モノとは一線を画しているわね。
そこにフォーカスしていない。そういった出来事に直面した人間がどういう変化を起こすのか、
自分はどうだったのか、どうしていったのか。
過酷極まりない状況下で、主観的感情に支配されそうになりながらも俯瞰的であろうと努めた著者の精神力や困難に対する捉え方なんかは、ハッとさせられたわ。状況は違えど、きっと同じような出来事にわたしたちも出くわしていくはず。
そんな時、「こんな風であれたら」と思う人間像がこの本にはあったわ。
戦争モノだけどその凄惨さにフォーカスしてないから、リアリティがあるのに何となくカラッとした雰囲気で描かれていて、戦争モノが苦手な人でも読みやすいと思うわ。(逆にそっちが好きな方はちょっと拍子抜けかも)
ハッと、グサッと、染み渡った場面がいっぱいあるんだけど、その一部をここに書かせてもらうわね。
−人間の苦悩は気体のようなもの。ある空間に注入された一定量の気体のようなものだ。
空間の大きさにかかわらず、気体は均一にいきわたる。
それと同じように、苦悩は大きくても小さくても人間の魂に、人間の意識にいきわたる。
人間の苦悩の「大きさ」はとことんどうでもよく、だから逆に、ほんの小さなことも
大きな喜びとなりうるのだ。−
これ、こんなにも苦悩を的確に表現した文章、わたしは初めて出会ったわ。本当にそうだって。ここに書かれている逆もまた然りですもの。
この本はきっと誰の人生でも生きていく力になってくれると思うわ。
機会があれば是非読んでみてね。