夫婦が互いに下した決断に涙する…! 東野圭吾「秘密」

「白夜行」とか「容疑者Xの献身」とかもあるけど…

私のオススメ作品はこれ「秘密」ね

※注意) 予備知識入れて読みたくない人は見ないよう気をつけて下さい_φ(・_・

 

 

この作者はねえ、嫌な予感をさせるのが上手いのよ。いい意味で予想通りにしてくれるというか。そこをまた裏切ってみたりとか。

まあわたしがここで語らずとも、元々有名な作品だから、ちょっとあらすじを書くとね、

 

 

物語の冒頭、主人公の奥さんと娘がバスで実家に帰る途中、事故に巻き込まれちゃうの。(主人公がテレビをみてそれを知るんだけどそこの描写がまた臨場感あっていい。)

で奥さんが亡くなって娘が生き残る。再開を果たした主人公が娘に話しかけると「娘の姿をした妻」になってる。
ってまあ魂が入れ替わってしまうっていう、SFチックなよくある設定といえば設定
でも違うのよこの作品はここからなの

わたしも最初読んだ時、「えっ?そっち系なの?」ってここまで読んだ時は正直思ったわ。

でもこの設定だったからこそ、この後に描かれる物語の奥深さがあったとわたしは思ったわ。

単純な「入れ替わり」の話じゃあないの。

 

最初は戸惑いながらもその状況を受け入れて頑張ろうと決意する夫婦。

でも姿は「娘」なので妻は「娘」のフリをして生きていく…

 

有り得ないけど、もし、こんな状況になったら起こるだろうなという問題が夫婦に起こってくる。
またその問題もとってもリアルね(例えば知能レベルの差や性的な事とか)。

出てきた問題を解決しようとしてみたり、時にはみて見ないふりしたり、密かに諦めたり。

 

それはお互いを尊重するため。そしていつか、「妻」の魂が消え「娘」に戻るんじゃないかという不安のような希望、またその逆を抱えながら。

 

本当にねえ、凄かった。物語を読み進めたくて、でも読むのが怖い場面もいっぱいあるわよ(笑)

どっちの気持ちもわかるもの。そりゃそうなるよって。お互いが。

 

同じ価値観で、同じ世界を見ていた二人が、事故をきっかけに段々と違う世界を見るようになる。

 

それは人としての成長であったり、あるいは環境・状況への適応によって。

かたや変化した環境が以前に戻ると信じ、維持し続けようと努力する。

 

「夫婦」を夫婦たらしめるものってなに?
「私」ってなに?

 

自分の今の生活、パートナー、その環境の全てが偶然の産物。 変わらない幸せ、その平凡が生み出す不満や不安。

 

この二人を通してそんな事をすごく考えさせられたわ。

今が「今」であることも、わたしが「今の私」であることも、

実はとってもとっても薄い紙一枚の上に成り立っているのかも知れない。
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